築140年の茅葺き屋根と
杉苔・枯山水の庭園

明治16年に建てられた邸宅を象徴するのは茅葺き屋根と苔庭です。主屋は豪快なけやきの梁組みで構成された農民仕様の部分と格式高い書院造の武家仕様の部分に分けられています。

林富永邸

富永家は、幕末まで神田村( 現三和区神田) の庄屋役を務めた名家を本家としています。明治16 年に現在の建物が建設され、地名が「立林」だったことから「林」を屋号とし、「林富永」と呼ばれるようになりました。
入口の杉並木を進むと、どっしりとした茅葺き屋根の邸宅が落ち着いた佇まいが現れます。母屋に入ると、豪快なけやきの梁組みで構成された農民仕様の部屋と、侘び寂びのある書院造りの座敷で構成された武家仕様の部屋に仕切られています。建造物はほぼ建築当時のままで、囲炉裏やかまどがそのままの形で残されており、当時の生活を偲ぶことができます。
杉苔を敷き詰めた枯山水の庭園の先には、眼下の水田を「海」に、西頸城の鉾ヶ岳や権現岳を「山」に、水田に張り出した丘陵を「岬」に見立てた借景を望むことができます。

林富永邸

重量感があり豪雪にも耐えてきたけやきの梁が、農民仕様の広間に豪快な印象を与えています。また、四方を囲む差し鴨居も雪国ならでは太さです。

林富永邸

床の間、襖、長押、天井などが許された武家仕様の座敷は書院造りとなっており、派手さはありませんが上品で繊細な建具の細工や木材の吟味がされています。

林富永邸

奥座敷の書院から望む庭園は、眼下に田園風景が一望でき、自然の風景を取り入れた借景庭園です。庭園には銘木や巨木が多く、杉は約500年、もみ・しだれ桜・もみじは200~300 年の樹齢と言われています。

林富永邸

奥座敷の狩野派の屏風や勝海舟の書。他にも、犬養毅、五姓田芳柳、巌谷修など、著名人・文化人との交流がありました。勝海舟は、岩の原葡萄園の創業者・川上善兵衛と子弟関係にあり、林富永邸にも訪れています。

林富永邸

囲炉裏から立ち上る煙に燻され、茅葺き屋根は虫や湿気から守られてきました。杉の枯葉と火吹き竹で火をおこせば、囲炉裏の火を眺めながら和やかに会話がはずみます。

林富永邸

重要顧客が手を洗う蹲(つくばい)から流れ落ちた水により、水琴窟が軽やかで透明感のある音色を奏でます。

■林富永邸ホームページ
https://hayashi-tominaga-tei.com/
■カフェハヤシホームページ
https://cafe-hayashi.com/
■住所
〒942-0265 新潟県上越市‎三和区神田2245
■駐車場
あり

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