明治天皇の御小休座敷と
大正ロマンあふれる洗練された建具
明治天皇御小休座敷「玉座の間」が移築されており、豪華な襖絵や欄間も見どころです。庭を一望できる入側の柱の間が5間あり、全国でも10 例も残っていない貴重な造りと言われています。
旧明治村時代の初代助役に始まり3 代にわたり明治村村長を歴任した家系です。
木戸の周囲には土塁が巡らされ、門から玄関まで見通しの効かないカギ状の通路は、切り石を積み上げた石積塀が左右に続いています。この建物は、明治11 年の明治天皇北陸巡幸の折に御小休された西頸城の斎藤家を、大正に入り移築した建物です。大正7年より2 年かけて骨組みを建て、16 年の造作工事の末、昭和8 年に現在の状態になりました。
洋風意匠の大振りな玄関を構える大型住宅で、ガラス建具や座敷の造作など、大正期の洗練さがうかがえる上質な近代和風住宅です。大きな梁と高い天井や二重構造で強固な骨組みなどは建築当時のままで、欅、杉、松、栗などの太い柱や梁が重量感を感じさせます。白田邸は、平成26 年登録有形文化財に指定されています。
大屋根は入母屋瓦葺き船枻(せがい)造りで、軒桁はかなり深く構成されています。2 階は、窓枠の形や洋風の上下開き窓、手造りのガラス戸など、洋風館造りになっています。玄関の大戸は欅の1 枚板で、ガラスは舶来品です。
手腕指物師による透かし彫りで、あしに雁が表現されています。新潟市西堀通り「建駒」の田中駒蔵作です。
移築された明治天皇御小休座敷「玉座の間」は、10 畳、9 尺床の間、6 尺違い棚、出書院などにより構成されています。襖戸は、特製4 尺鳥の子一枚貼りで、京都の画工に金粉金砂子にて書かせた金砂子入り二胞腰雲です。
離れの間。柾目柱。茶室風造り、小水屋付。繊細な桟障子戸内側→ガラス戸枠銀杏面取り→格子戸枠銀杏面取り。掃出は6 尺ガラス戸、組子襖戸、障子戸3 組引戸の意匠が逸品です。
北土院・蹲(つくばい)は自然石。吊り灯篭。那智の小石、蹲造作は東京都豊島区庭師、伊藤寅之助直作。床コンクリートは洗い出し仕上げ。踏み石(式台)は2 間間通し1 本ものです。
北土院。全長5 間梁桁。雨戸は巾3 尺、高さ9 尺、8 本引き戸。下屋は110 尺、奥が深くなっています。縁側縁板は3 尺巾のけやき材。土院ガラス戸4 尺巾は特注。5間に8 枚手造りガラス戸。
■住所
〒942-0223 新潟県上越市頸城区森本703
■駐車場
なし
※公開時期:春秋の一斉公開に加え、第2土日、第4土日に公開しています。詳細はこちら。